ファクタリングとは?仕組み・手数料・注意点をわかりやすく解説
ファクタリングは、売掛金を本来の支払期日より前に資金化する方法です。
銀行融資とは異なり、一般的なファクタリングはお金を借りる契約ではなく、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社へ売却する契約です。
売上は計上されているものの入金まで時間があり、その間の仕入代金、外注費、人件費などが不足する場合に利用されることがあります。
ただし、早く資金化できることだけを見て契約すると、高額な手数料によって翌月以降の資金繰りが悪化する可能性があります。ファクタリングを装った違法な貸付けにも注意が必要です。
本記事では、ファクタリングの基本的な仕組み、2社間と3社間の違い、銀行融資との比較、手数料の確認方法、契約前に注意したい項目を解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の契約条件、手数料、入金時期、必要書類などは事業者や契約内容によって異なります。契約内容に不明点がある場合は、弁護士などの専門家へご相談ください。
この記事の要点
- ファクタリングは一般的に売掛債権を売却する取引です
- 銀行融資のような借入れとは仕組みが異なります
- 2社間と3社間では売掛先の関与や資金の流れが異なります
- 手数料だけでなく、実際の入金額と追加費用を確認する必要があります
- 継続利用すると将来の入金額が減り、資金繰りが悪化する場合があります
- 売掛金を回収できなかった場合の買戻し義務などに注意が必要です
- ファクタリングを装った高金利の貸付けには十分な注意が必要です
目次
- ファクタリングとは
- ファクタリングと銀行融資の違い
- 2社間ファクタリングの仕組み
- 3社間ファクタリングの仕組み
- ファクタリングのメリット
- ファクタリングのデメリット
- 手数料と実際の入金額の確認方法
- ファクタリングを繰り返すリスク
- 契約前に確認したい項目
- 偽装ファクタリングに注意する
- ファクタリングが向いている場合
- ほかの方法を優先したい場合
- 利用を検討する具体例
- まとめ
ファクタリングとは
金融庁は、一般的なファクタリングについて、事業者が保有する売掛債権などを支払期日前に一定の手数料を差し引いて買い取るサービスであり、法的には債権の売買契約であると説明しています。
例えば、取引先へ商品を納品し、100万円の請求書を発行したものの、入金日が2か月後という場合を考えます。
その売掛債権をファクタリング会社へ売却すると、所定の手数料などを差し引いた金額を、元の入金日より前に受け取れる場合があります。
事業者は早く資金を確保できますが、100万円をそのまま受け取れるわけではありません。
仮に手数料などの負担が10万円なら、実際の受取額は90万円です。将来受け取る予定だった100万円と引き換えに、現在の90万円を受け取ることになります。
そのため、ファクタリングは売上を増やす方法ではなく、将来の入金を費用を払って前倒しする方法と考える必要があります。
ファクタリングと銀行融資の違い
ファクタリングと銀行融資には、資金を受け取るという共通点がありますが、契約の仕組みは異なります。
契約内容
銀行融資は、金融機関から資金を借り、契約に従って元金と利息を返済する取引です。
一般的なファクタリングは、保有する売掛債権を売却する取引です。
確認される対象
銀行融資では、申込企業の業績、財務内容、資金使途、返済可能性などが確認されます。
ファクタリングでは、利用企業の状況に加えて、売掛債権の実在性や売掛先の信用力などが確認されます。
ただし、ファクタリングであれば利用企業の状況が一切確認されないわけではありません。
資金調達できる金額
銀行融資では、財務内容や資金使途などを踏まえて融資額が決まります。
ファクタリングでは、原則として売却可能な売掛債権の範囲内で資金化します。売掛債権がなければ、通常の売掛債権ファクタリングは利用できません。
費用
銀行融資では、主に金利や手数料、信用保証付き融資であれば信用保証料などが発生します。
ファクタリングでは、債権額と買取代金の差額となる手数料や、契約に伴う諸費用などが発生する場合があります。
単純に金利と手数料の表示だけを比べるのではなく、利用期間と実際の負担額を確認することが重要です。
返済
銀行融資では、契約した返済期間にわたって元金と利息を返済します。
ファクタリングは債権の売却であるため、通常の融資と同じような月々の返済はありません。
ただし、2社間ファクタリングでは、売掛先から利用企業へ振り込まれた売掛金を、契約に従ってファクタリング会社へ送金する仕組みがあります。
2社間ファクタリングの仕組み
2社間ファクタリングは、主に次の2者で契約します。
- ファクタリングを利用する事業者
- ファクタリング会社
売掛先は、原則としてファクタリング契約の当事者にはなりません。
一般的には、次のような流れになります。
- 利用企業が売掛先へ商品やサービスを提供します
- 利用企業に売掛債権が発生します
- 利用企業が売掛債権をファクタリング会社へ売却します
- 手数料などを差し引いた買取代金が利用企業へ支払われます
- 支払期日に売掛先が利用企業へ売掛金を支払います
- 利用企業が受け取った売掛金をファクタリング会社へ送金します
2社間ファクタリングの特徴
売掛先への通知や承諾を行わず利用できる契約であれば、取引先にファクタリングの利用を知られにくい場合があります。
一方、売掛先からの入金が一度利用企業を経由するため、ファクタリング会社にとっては、利用企業が受け取った資金を送金しないリスクがあります。
そのため、3社間ファクタリングと比べて費用が高く設定される場合があります。
契約内容によっては債権譲渡登記を求められることもあるため、登記の有無や費用も確認してください。
3社間ファクタリングの仕組み
3社間ファクタリングには、主に次の3者が関係します。
- ファクタリングを利用する事業者
- 売掛先
- ファクタリング会社
一般的には、売掛先へ債権譲渡を通知し、または売掛先から承諾を得て手続きを進めます。
資金の流れは次のようになります。
- 利用企業に売掛債権が発生します
- 利用企業が売掛債権をファクタリング会社へ売却します
- 売掛先へ債権譲渡を通知し、または承諾を得ます
- ファクタリング会社が利用企業へ買取代金を支払います
- 支払期日に売掛先がファクタリング会社へ直接支払います
3社間ファクタリングの特徴
売掛先が関係し、売掛金をファクタリング会社へ直接支払うため、2社間ファクタリングより資金回収の流れが明確になります。
その結果、2社間より手数料を抑えられる場合があります。
一方で、売掛先の承諾や事務対応が必要になるため、手続きに時間がかかる可能性があります。
また、売掛先にファクタリングの利用を知られることになります。取引先との契約に債権譲渡に関する定めがないかも確認が必要です。
ファクタリングのメリット
売掛金を支払期日前に資金化できる
ファクタリングの主なメリットは、将来入金される売掛金を前倒しで資金化できることです。
売上の入金前に仕入代金や給与の支払期限が到来する場合、資金のずれを埋められる可能性があります。
一般的な融資とは審査の観点が異なる
ファクタリングでは、利用企業の財務内容だけでなく、売掛債権の内容や売掛先の信用力なども確認されます。
そのため、銀行融資とは異なる判断になる可能性があります。
ただし、「赤字でも必ず利用できる」「審査がない」という意味ではありません。
借入金とは異なる
一般的な債権売買として処理されるファクタリングは、銀行融資とは契約の性質が異なります。
ただし、会計上どのように処理するかは、契約の実態によって確認が必要です。具体的な仕訳については税理士などへ相談してください。
売掛先の支払不能リスクを移転できる場合がある
売掛先が支払えなくなった場合でも、利用企業に買戻し義務がないノンリコース契約であれば、不払いリスクをファクタリング会社へ移転できる場合があります。
ただし、契約書にノンリコースと書いてあれば必ず問題がないわけではありません。
表明保証違反などを理由に利用企業へ責任を求める条項が設けられている場合もあるため、契約全体を確認する必要があります。
ファクタリングのデメリット
売掛金の全額を受け取れない
手数料などが差し引かれるため、本来の支払期日に受け取る場合より受取額が減ります。
売掛債権100万円を売却し、最終的な受取額が90万円であれば、10万円分だけ利益や将来の資金が減少します。
継続すると資金繰りが悪化する可能性がある
一度利用しただけで資金不足の原因が解決するとは限りません。
翌月も同じ経費が発生する一方、前倒しした売掛金は本来の支払日に入金されません。
その結果、翌月もファクタリングを利用しなければならなくなる場合があります。
売掛債権がなければ利用できない
通常の売掛債権ファクタリングでは、すでに発生している売掛債権などが必要です。
現金商売が中心の事業や、まだ受注していない将来売上などでは利用できないことがあります。
売掛先との関係に影響する可能性がある
3社間ファクタリングでは売掛先の関与が必要です。
2社間でも、債権譲渡登記や契約上の手続きなどを通じて、利用の事実が確認される可能性があります。
売掛先へどのように説明するかも事前に考えておく必要があります。
契約内容を理解しにくい場合がある
債権譲渡、買戻し、償還請求、表明保証、債権譲渡登記など、専門的な契約内容が含まれる場合があります。
内容を理解しないまま署名や押印をしないようにしてください。
手数料と実際の入金額の確認方法
ファクタリングを比較するときは、表示された手数料率だけでなく、実際に口座へ入金される金額を確認します。
基本的な考え方は次のとおりです。
実際の入金額 = 売掛債権の額面 − 手数料 − その他の費用
その他の費用として、次のような項目が設定される場合があります。
- 事務手数料
- 審査や調査に関する費用
- 契約に関する費用
- 債権譲渡登記に関する費用
- 司法書士費用
- 振込手数料
- 出張費用
- 契約解除に関する費用
例えば、売掛債権が300万円で、手数料が24万円、登記などの費用が6万円なら、実際の入金額は270万円です。
負担額は合計30万円となります。
この30万円を支払ってでも早期に資金化する必要があるのか、次の方法と比較します。
- 銀行融資
- 日本政策金融公庫
- 既存の当座貸越
- 売掛先への早期入金の相談
- 仕入先への支払猶予の相談
- 不要資産や在庫の売却
- 経費の支払時期の見直し
見積書には、最終的な入金額と、契約後に追加で支払う可能性がある費用を明記してもらいます。
ファクタリングを繰り返すリスク
ファクタリングを継続的に利用すると、手数料分だけ毎月の入金額が減少します。
例えば、毎月300万円の売掛金を資金化し、毎回30万円の費用が発生する場合、6回で合計180万円の負担になります。
一時的な資金不足を解消するための利用であっても、資金不足の原因が残っていれば、利用を止めた月に資金が足りなくなる可能性があります。
繰り返し利用する前に、次の点を確認してください。
- 売上に対して粗利益が不足していないか
- 入金までの期間が長すぎないか
- 在庫が増えすぎていないか
- 固定費が重すぎないか
- 赤字取引を続けていないか
- 借入返済額が過大ではないか
- 前倒しした資金を何に使用しているか
- いつ利用を終了できるのか
ファクタリングによる入金を売上入金と混同せず、将来の売掛金を先に受け取ったものとして資金繰り表へ反映します。
契約前に確認したい項目
契約の当事者
契約相手の正式な会社名、所在地、代表者名、連絡先、法人番号などを確認します。
ウェブサイトに会社情報がほとんど掲載されていない場合や、契約書に記載された会社と振込先名義が異なる場合は、理由を確認してください。
売却する債権
どの取引先に対する、いつ発生した、いくらの売掛債権を売却するのか確認します。
同じ債権を複数の会社へ売却する二重譲渡は行ってはいけません。
買取代金と費用
売掛債権の額面、買取代金、手数料、その他の費用、最終入金額を確認します。
手数料率だけが表示され、実際の入金額が契約直前まで分からない場合は注意が必要です。
入金予定日
必要な日までに入金されるか確認します。
広告に記載された最短時間だけでなく、自社の場合に必要な書類と手続き、審査、契約後の入金予定を確認してください。
売掛先への通知
売掛先へ債権譲渡を通知するのか、承諾が必要なのかを確認します。
通知を留保する場合でも、どのような場合に通知されるのか確認してください。
債権譲渡登記
債権譲渡登記を行う契約か、登記費用を誰が負担するか、契約終了後の登記手続きをどうするか確認します。
償還請求権や買戻し義務
売掛先が支払わなかった場合、利用企業が債権を買い戻す必要があるのか確認します。
契約書上はノンリコースでも、別の条項によって広範な責任を負わされていないか確認が必要です。
契約解除と違約金
契約を途中で解除できるのか、違約金や損害賠償がどのように定められているか確認します。
契約書を持ち帰らせず、その場で署名を急がせる業者には注意してください。
偽装ファクタリングに注意する
金融庁は、ファクタリングを装って高金利の貸付けを行うヤミ金融業者が確認されているとして、注意を呼びかけています。
契約書に債権譲渡契約と記載されていても、取引の実態が貸付けと同様であれば、貸金業に該当する可能性があります。
特に、次のような場合は慎重な確認が必要です。
- 売掛債権の額面に比べて受取額が著しく少ない
- 売掛先が支払わない場合に買戻しを求められる
- 売掛先の不払い時に自社資金で支払うよう求められる
- 売掛債権の内容と関係なく金額が決まる
- 実質的に元金と高額な利息を返済する仕組みになっている
- 契約書を事前に確認できない
- 高圧的に契約を迫られる
- 個人の給与を買い取るという説明を受ける
- 銀行口座や通帳などの譲渡を求められる
金融庁は、高額な手数料を支払うことで資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性についても注意を促しています。
少しでも疑問がある場合は、その場で契約せず、弁護士、金融庁の相談窓口、警察、消費生活相談窓口などへ相談してください。
ファクタリングが向いている場合
一般的には、次のような場合に検討されることがあります。
- 実在する売掛債権がある
- 売掛先の入金日が確定している
- 支払期限まで一時的に資金が不足する
- 資金不足の原因と解消時期が明確である
- 手数料を負担しても十分な利益が残る
- 単発利用で資金繰りを正常化できる見込みがある
- 契約内容と費用を十分に確認できる
売掛金を早く受け取ることで、利益のある受注を完了できる場合などは、費用と効果を比較する余地があります。
ほかの方法を優先したい場合
次のような場合は、ファクタリングの前に別の方法を検討した方がよい可能性があります。
- 毎月赤字が続いている
- ファクタリングを止めると支払いができない
- 手数料を支払うと利益がほとんど残らない
- 資金の使い道が不明確である
- 売掛先の支払能力に問題がある
- 売却できる売掛債権がない
- 設備投資など長期的な資金が必要である
- 銀行や日本政策金融公庫へまだ相談していない
設備投資のように長期間使用する資産は、売掛金の前倒しより、返済期間を確保できる融資の方が資金の性質に合う場合があります。
利用を検討する具体例
建設会社が、工事代金500万円を2か月後に受け取る予定である一方、10日後に外注費と材料費として350万円を支払う必要があるケースを考えます。
現在の預金残高は200万円ですが、給与や家賃の支払いに100万円を残す必要があります。
この場合、支払いに使用できる預金は100万円であり、資金不足額は250万円です。
350万円 − 100万円 = 250万円
500万円の売掛債権をファクタリングで資金化し、手数料などを差し引いた入金額が450万円であれば、直近の支払いは可能になります。
しかし、2か月後に本来入金される500万円は、すでに前倒ししているため受け取れません。さらに50万円の費用負担が発生します。
この会社では、ファクタリングだけを検討するのではなく、次の方法を比較する必要があります。
- 取引銀行の融資枠を利用できないか確認する
- 売掛先へ一部前払いを相談する
- 外注先や仕入先へ支払日の調整を相談する
- 必要額250万円だけを資金化できないか確認する
- ファクタリング利用後の2か月分の資金繰りを作成する
- 同じ資金不足が繰り返されないよう、今後の契約で着手金や中間金を設定する
費用を抑えるために必要額だけを資金化できるか確認し、利用後の資金不足まで計算することが重要です。
まとめ
ファクタリングは、売掛債権を支払期日前に売却し、将来の入金を前倒しする資金調達方法です。
一般的な銀行融資とは異なり、債権の売買契約として行われます。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、売掛先の関与、資金の流れ、手続き、費用などが異なります。
利用を検討する際は、手数料率だけでなく、売掛債権の額面からすべての費用を差し引いた実際の入金額を確認してください。
また、ファクタリングを繰り返すと、手数料によって将来の入金が減少し、資金繰りがさらに苦しくなる可能性があります。
契約前には、買戻し義務、償還請求権、売掛先への通知、債権譲渡登記、追加費用、違約金などを確認することが大切です。
ファクタリングを装った違法な貸付けについては、金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」も必ずご確認ください。




