借換融資とは?返済負担を見直す方法と注意点
複数の借入金を返済していると、毎月の元金返済額が膨らみ、利益は出ているのに預金残高が減り続けることがあります。
このような場合に検討できる方法の一つが「借換融資」です。
借換融資を利用すると、既存の借入金を新しい融資で返済し、返済期間や毎月の返済額を組み直せる可能性があります。複数の借入金を一本化することで、返済管理をしやすくする効果も期待できます。
ただし、毎月の返済額が下がっても、返済期間が延びれば支払利息や信用保証料を含む総負担が増えることがあります。また、すべての借入金を自由にまとめられるわけではありません。
本記事では、借換融資の仕組み、返済負担の変化、金融機関が確認するポイント、利用前の注意点を具体例とともに解説します。
※本記事は一般的な情報を提供するものであり、融資の実行や特定の条件を保証するものではありません。利用できる制度、金利、保証料、返済期間などは、金融機関や信用保証協会へご確認ください。
この記事の要点
- 借換融資は、新しい融資で既存の借入金を返済する方法です
- 複数の借入金を一本化し、毎月の返済額を軽減できる可能性があります
- 返済額だけでなく、利息や保証料を含む総返済額の確認が必要です
- 借換融資と返済条件の変更は異なります
- 返済が苦しくなる前に相談した方が選択肢を確保しやすくなります
- 借換後に資金繰りが改善する根拠を説明する必要があります
目次
- 借換融資とは
- 借換融資と返済条件変更の違い
- 借換融資を検討できるケース
- 複数の借入金を一本化する効果
- 毎月の返済額がどう変わるか
- 借換融資で確認されるポイント
- 相談前に準備したい資料
- 信用保証協会の保証付融資を借り換える場合
- 借換融資のメリット
- 借換融資の注意点
- 借換えを避けた方がよいケース
- 金融機関への相談方法
- 借換後に必要な経営改善
- まとめ
借換融資とは
借換融資とは、新たに受けた融資で既存の借入金を返済し、借入条件を組み直す方法です。
たとえば、残高500万円の借入金と残高300万円の借入金がある場合、新たに800万円の融資を受け、その資金で2本の借入金を完済します。
その結果、2本あった借入金が1本にまとまり、返済期間や毎月の返済額が新しい条件に変更されます。
借換えの主な目的は次のとおりです。
- 毎月の元金返済額を減らす
- 複数の返済日を一本化する
- 短期の借入金を長期の借入金へ組み直す
- 金利や返済条件を見直す
- 複数の保証付融資を整理する
- 一時的な資金繰り悪化を改善する
全国信用保証協会連合会も、複数の保証付借入金を一本化することで、毎月の返済負担を軽減できる可能性があると案内しています。一方で、借換えができる保証制度とできない保証制度があるため、個別の確認が必要です。
詳しくは、全国信用保証協会連合会の資金繰りの改善をお考えの方をご確認ください。
借換融資と返済条件変更の違い
借換融資と返済条件変更は、どちらも毎月の返済負担を見直す方法ですが、仕組みが異なります。
| 項目 | 借換融資 | 返済条件変更 |
|---|---|---|
| 基本的な仕組み | 新しい融資で既存融資を返済します | 現在の融資契約の返済条件を変更します |
| 借入契約 | 新しい契約を結びます | 既存契約を変更します |
| 主な方法 | 一本化、期間延長、金利見直し | 元金据置、返済額減額、期間延長 |
| 追加資金 | 含められる場合があります | 原則として追加資金ではありません |
| 審査 | 新規融資としての審査があります | 条件変更に関する審査があります |
| 費用 | 利息、保証料、手数料などが発生する場合があります | 条件変更手数料などが発生する場合があります |
返済条件変更は、一般的に「リスケジュール」または「リスケ」と呼ばれます。
中小企業基盤整備機構のJ-Net21も、リスケジュールを金融機関からの借入金に関する返済条件の変更と説明しています。また、経営改善計画を伴わない安易な条件変更には注意が必要であるとしています。
参考:J-Net21「リスケジュールについて教えてください」
借換融資を申し込んでも審査結果によっては実行されないため、借換融資と条件変更のどちらが適切か、早めに取引金融機関へ相談することが重要です。
借換融資を検討できるケース
借換融資は、次のような場合に検討できます。
複数の借入金を同時に返済している場合
設備資金、運転資金、制度融資などを複数利用し、それぞれの返済が重なると、毎月の返済額が大きくなります。
借換えによって借入金を一本化し、返済期間を調整できれば、毎月の返済額を抑えられる可能性があります。
短期間に借入れが集中している場合
借入時には返済できる計画だったとしても、その後の売上減少、原材料価格の上昇、人件費の増加などによって返済負担が重くなることがあります。
営業利益やキャッシュフローに対して年間返済額が過大になっている場合は、借換えによる返済期間の見直しを検討する余地があります。
借入金の返済日が分散している場合
複数の金融機関から借り入れていると、返済日や返済口座が分かれ、資金管理が複雑になります。
借換えによって返済日や返済口座を整理できれば、資金繰り管理の負担を減らせる可能性があります。
ただし、複数の金融機関の借入金を別の金融機関でまとめる場合は、既存金融機関との関係や担保、信用保証協会の保証条件などの確認が必要です。
金利負担が重い場合
現在の借入金より低い金利で借り換えられれば、利息負担が減る可能性があります。
ただし、金利だけで判断してはいけません。新たな信用保証料、事務手数料、繰上返済に関する費用などを含めて比較する必要があります。
複数の借入金を一本化する効果
次の3本の借入金がある会社を考えます。
| 借入金 | 残高 | 残りの返済期間 | 毎月の元金返済 |
|---|---|---|---|
| 借入A | 600万円 | 24か月 | 25万円 |
| 借入B | 360万円 | 36か月 | 10万円 |
| 借入C | 240万円 | 24か月 | 10万円 |
| 合計 | 1,200万円 | ― | 45万円 |
現在は、毎月45万円の元金を返済しています。
この1,200万円を、仮に返済期間5年の借入金へ一本化した場合、単純計算による毎月の元金返済額は次のようになります。
1,200万円 ÷ 60か月 = 20万円
毎月の元金返済額は、45万円から20万円へ減少します。
月25万円の資金流出が減り、年間では300万円の資金繰り改善効果が生じる計算です。
ただし、これは元金だけを使った単純計算です。実際の返済額には利息が加わり、返済方式によっても金額が変わります。また、借換時に信用保証料や手数料が必要になる場合があります。
毎月の返済額がどう変わるか
借換融資を検討するときは、毎月の返済額だけでなく、総返済額も比較します。
たとえば、残高1,200万円を次の条件で返済すると仮定します。
| 項目 | 現在の借入 | 借換後 |
|---|---|---|
| 借入残高 | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 残存期間 | 3年 | 7年 |
| 金利 | 年1.5% | 年2.0% |
| 元金の月額目安 | 約33.3万円 | 約14.3万円 |
借換後は、毎月の元金返済額が約19万円減少します。
一方、返済期間が長くなり、金利も上がっているため、完済までに支払う利息は増える可能性があります。
そのため、次の数字を並べて比較する必要があります。
- 借換前の毎月返済額
- 借換後の毎月返済額
- 借換前の残存利息
- 借換後の支払利息
- 信用保証料
- 融資手数料
- 繰上返済に関する費用
- 抵当権などを変更する場合の登記費用
- 借換後の総返済額
借換えは「返済額をなくす方法」ではなく、「返済時期を組み替える方法」です。
毎月の負担は軽くなっても、借入残高そのものが減るわけではありません。
借換融資で確認されるポイント
借換融資は、新しい融資として審査されます。
金融機関は、借換えによって一時的に返済額を下げるだけでなく、その後に事業を継続して完済できるかを確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
借入金の内容
借入先、残高、金利、返済期間、毎月返済額、資金使途、保証の有無などを確認します。
借入金一覧を作成し、決算書の借入金残高や返済予定表と一致させておきましょう。
借換えが必要になった理由
「返済が苦しいから」という説明だけでは不十分です。
次のように、原因を具体的に説明する必要があります。
- 売上減少によって営業キャッシュフローが減った
- 原材料価格や人件費の上昇によって利益率が低下した
- 売掛金の回収期間が長期化した
- 設備投資後の売上増加が計画より遅れている
- 複数の融資の返済開始時期が重なった
- 一時的な受注減少が発生した
借換後の返済可能性
借換えによって毎月の返済額が減った後、営業活動から生じる資金で返済を継続できるかが重要です。
借換前後の資金繰りを比較し、資金不足がどの程度改善するかを示しましょう。
経営改善策
借換えだけで赤字の原因が解消するわけではありません。
売上の回復、粗利益率の改善、固定費の削減、在庫の圧縮、売掛金回収の短縮など、借換後に実行する改善策も確認されます。
税金・社会保険料の納付状況
税金や社会保険料に未納がある場合は、審査へ影響する可能性があります。
未納がある場合は事実を隠さず、金額、発生理由、相談状況、納付計画を説明してください。
相談前に準備したい資料
金融機関へ借換融資を相談する際は、次の資料を準備します。
- 直近2期から3期分の決算書・申告書
- 最新の試算表
- 借入金一覧
- 各借入金の返済予定表
- 金融機関別の預金残高
- 売掛金・買掛金一覧
- 今後6か月から12か月の資金繰り表
- 借換前後の返済額比較表
- 売上や受注の見込みが分かる資料
- 経営改善計画
- 納税証明書など
- 信用保証協会や自治体制度の申込書類
特に重要なのが、借入金一覧と借換前後の返済比較です。
借入金一覧には、少なくとも次の項目を記載してください。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 借入先 | 金融機関名・支店名 |
| 当初借入額 | 契約時の借入額 |
| 現在残高 | 直近時点の残高 |
| 資金使途 | 運転資金・設備資金など |
| 金利 | 現在適用されている金利 |
| 毎月返済額 | 元金と利息 |
| 最終返済日 | 完済予定日 |
| 保証 | 信用保証協会・担保・保証人など |
| 条件変更 | 過去の条件変更の有無 |
数字が決算書や返済予定表と一致していないと、追加確認が必要になり、審査に時間がかかることがあります。
信用保証協会の保証付融資を借り換える場合
信用保証協会の保証付融資については、複数の保証付借入金を一本化できる場合があります。
全国信用保証協会連合会は、借換えによって毎月の返済負担を軽減できる可能性を案内する一方、借換えが可能な保証制度と対象外の制度があるとしています。
また、保証制度によっては、金融機関や認定経営革新等支援機関の支援を受けながら事業計画を作成し、その進捗を報告することが要件になる場合があります。
信用保証協会の保証制度は、地域や時期、会社の状況によって利用条件が異なります。中小企業庁の金融一般支援や、所在地を管轄する信用保証協会の情報を確認してください。
過去に利用できた期間限定の借換保証が、現在も同じ条件で利用できるとは限りません。古い記事だけで判断せず、金融機関または信用保証協会へ最新の受付状況を確認しましょう。
借換融資のメリット
毎月の返済負担を軽減できる可能性があります
返済期間を延ばすことで、毎月の元金返済額を減らせる可能性があります。
資金流出が抑えられれば、給与、仕入代金、家賃などに必要な運転資金を確保しやすくなります。
複数の借入金を管理しやすくなります
複数の返済日や返済口座を一本化できれば、資金管理が簡単になります。
返済漏れを防ぎ、将来の返済予定も把握しやすくなります。
条件変更前に資金繰りを改善できる場合があります
返済が完全に困難になる前であれば、借換融資によって返済条件を組み直せる場合があります。
すでに延滞している場合や、返済条件を変更している場合は、利用できる制度や審査の考え方が異なる可能性があります。
追加の運転資金を含められる場合があります
制度や審査結果によっては、既存借入金の借換額に加え、必要な運転資金を含められることがあります。
ただし、追加資金には具体的な資金使途と返済根拠が必要です。単に預金を増やしたいという説明だけではなく、仕入、人件費、受注増加への対応など、必要額の計算を示しましょう。
借換融資の注意点
総返済額が増えることがあります
返済期間を延ばすと、毎月の返済額は下がりますが、利息を支払う期間が長くなります。
借換前より金利が高い場合は、総返済額がさらに増える可能性があります。
信用保証料や手数料が発生する場合があります
信用保証協会の保証付融資では、新しい保証に対する信用保証料が発生する場合があります。
既存の保証付融資を期限前に完済すると、条件によっては保証料の一部が返戻されることもありますが、必ず返戻されるとは限りません。
新たな保証料と返戻見込み額を分けて確認してください。
すべての借入金をまとめられるとは限りません
プロパー融資、信用保証協会の保証付融資、日本政策金融公庫などの政府系金融機関による融資、補助金のつなぎ融資などは、それぞれ契約や制度が異なります。
金融機関や保証制度をまたいで自由に一本化できるとは限りません。
取引金融機関との関係が変わる可能性があります
他の金融機関へ借り換える場合、既存金融機関との融資取引が終了または縮小する可能性があります。
金利だけでなく、決済口座、売上入金、手形、保証、今後の資金調達なども含めて判断する必要があります。
根本的な赤字は解消しません
借換えによって返済額を下げても、本業の赤字や売掛金の長期化、過剰在庫などが改善されなければ、再び資金不足になります。
借換えと経営改善はセットで考える必要があります。
借換えを避けた方がよいケース
次のような場合は、借換えを急ぐ前に別の対応も検討してください。
- 借換後も毎月の資金収支が赤字になる
- 新しい借入金の金利や保証料が大幅に高い
- 返済期間を延ばしても数か月後に資金不足になる
- 売上回復の根拠がなく、改善策も決まっていない
- 高金利の借入金で銀行融資を返済しようとしている
- すでに複数の返済を延滞している
- 税金や社会保険料の滞納も拡大している
- 廃業や法的整理を検討すべき状態にある
借換後も資金不足が続く場合は、借換融資だけでなく、返済条件変更、経営改善支援、事業再生、専門家への相談などを検討する必要があります。
金融機関への相談方法
借換融資は、資金が完全に不足してからではなく、数か月先の返済が厳しくなると分かった段階で相談してください。
相談時は、次の順番で説明すると伝わりやすくなります。
- 現在の借入残高と毎月返済額
- 返済負担が重くなった理由
- 借換えを希望する借入金
- 希望する返済期間と毎月返済額
- 借換前後の資金繰り比較
- 今後実行する経営改善策
- 借換後に返済できる根拠
たとえば、次のように説明します。
「現在は3本の借入金に対して毎月45万円を返済しています。原材料価格の上昇によって粗利益が減少し、毎月の資金余力が不足しています。3本を一本化して毎月返済額を20万円程度にできれば、年間300万円の資金流出を抑えられます。価格改定と不採算商品の見直しによって、半年後には月20万円の営業収支改善を見込んでいます」
希望額だけでなく、借換えによる改善効果と改善策を数字で示すことが重要です。
借換後に必要な経営改善
借換えが実行された後は、毎月の返済額が減ったことで安心せず、資金繰り改善を進める必要があります。
具体的には、次の項目を毎月確認します。
- 売上高
- 粗利益率
- 営業利益
- 売掛金回収期間
- 在庫金額
- 買掛金支払期間
- 営業キャッシュフロー
- 預金残高
- 借入金残高
- 毎月の元利返済額
借換えによって生じた資金余力を、赤字の穴埋めだけに使い続けると、返済期間が長期化しただけで終わります。
価格改定、原価管理、在庫削減、不要な固定費の見直し、売掛金回収の短縮などを進め、借入金に頼らなくても資金が残る状態を目指しましょう。
まとめ
借換融資は、新しい融資で既存の借入金を返済し、返済期間や毎月の返済額を組み直す方法です。
複数の借入金を一本化することで、毎月の返済負担を軽減し、資金繰りを改善できる可能性があります。
一方で、返済期間の延長によって利息負担が増える場合があります。信用保証料や手数料を含めると、借換前より総返済額が大きくなる可能性もあります。
借換融資を検討するときは、毎月の返済額だけで判断せず、次の項目を比較してください。
- 借換前後の毎月返済額
- 借換前後の総返済額
- 金利、保証料、手数料
- 借換後の資金繰り
- 完済までの期間
- 借換後に実行する経営改善策
借換えは、借入金を減らす方法ではなく、返済の時間配分を見直す方法です。
返済が難しくなってから慌てて相談するのではなく、今後6か月から12か月の資金繰りを確認し、返済負担が重くなる前に金融機関へ相談しましょう。

