銀行融資の面談で聞かれる質問|回答例と事前準備を解説
融資の面談では、決算書の数字だけでなく、経営者が自社の状況をどの程度把握しているか、借りた資金を何に使うのか、どのように返済していくのかなどが確認されます。
難しい金融用語を使って回答する必要はありません。しかし、提出書類と回答内容が食い違ったり、必要金額の根拠を説明できなかったりすると、追加の確認や資料提出が必要になる可能性があります。
大切なのは、審査に通りやすそうな回答を作ることではなく、自社の実態を数字と事実に基づいて説明できるようにすることです。
この記事では、事業資金の融資面談で聞かれることが多い質問、回答の組み立て方、避けたい回答、事前に準備する資料を整理します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、融資の承認を保証するものではありません。質問内容や確認事項は、金融機関、融資制度、申込者の状況によって異なります。実際の申込みについては、金融機関や専門家へご相談ください。
この記事の要点
- 面談では、事業内容、資金使途、必要金額、返済見込みなどが確認されます
- 回答は「結論・根拠・資料」の順で組み立てると伝わりやすくなります
- 売上計画は、単価、数量、顧客数などに分解して説明します
- 赤字や売上減少がある場合は、原因と改善策を分けて説明します
- 分からないことを推測で答えず、確認後に回答することも大切です
- 面談前に提出書類を読み直し、数字を一致させておきます
目次
- 融資面談は何のために行われるのか
- 面談前に準備すること
- 事業内容について聞かれる質問
- 融資の目的について聞かれる質問
- 必要金額について聞かれる質問
- 売上と利益について聞かれる質問
- 赤字や売上減少について聞かれる質問
- 既存借入れについて聞かれる質問
- 返済について聞かれる質問
- 創業融資で聞かれやすい質問
- 避けたい回答と改善例
- 面談当日の注意点
- 面談前のチェックリスト
- まとめ
融資面談は何のために行われるのか
融資面談は、経営者を一方的に試すための場ではありません。
提出された決算書、申込書、事業計画書などの内容を確認し、書類だけでは分からない事業の状況や資金の必要性を確認するために行われます。
主に確認される可能性があるのは、次の項目です。
- 事業の内容
- 経営者の経験
- 主な商品やサービス
- 販売先と仕入先
- 最近の売上や利益
- 資金が必要になった理由
- 借入希望額の計算根拠
- 融資金の具体的な使い道
- 今後の事業見通し
- 返済に充てる資金
- 既存借入金の状況
- 税金や社会保険料の支払状況
金融機関や融資制度によっては、面談ではなく、電話やオンラインで確認が行われる場合もあります。
日本政策金融公庫は、事業資金の手続きについて、申込み、面談、融資判断、契約などの流れを案内しています。実際の手続きは申込者や制度によって異なるため、最新の案内をご確認ください。
面談前に準備すること
提出書類を自分で読み直す
税理士や担当者に書類作成を依頼した場合でも、面談前には経営者自身が内容を確認します。
特に、次の数字はすぐに説明できるようにしておきます。
- 直近の売上高
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 現預金残高
- 売掛金残高
- 在庫金額
- 買掛金残高
- 借入金残高
- 毎月の返済額
- 融資希望額
- 毎月必要となる運転資金
すべてを暗記する必要はありません。説明に必要な資料を手元に置き、どこを見れば確認できるか把握しておくことが大切です。
資金が必要な理由を一文で整理する
最初に、資金が必要な理由を簡潔に説明できるようにします。
例えば、次のような形です。
「受注増加に伴って材料費と外注費の支払いが先行するため、入金までの運転資金として800万円を申し込みます」
この後に、受注金額、支払時期、入金時期などの根拠を説明します。
「資金繰りが厳しいから」「念のため借りたいから」だけでは、必要金額や使い道が伝わりません。
回答と提出資料を一致させる
面談で話す内容は、決算書、試算表、資金繰り表、借入申込書、事業計画書などと一致させます。
作成時点の違いによって数字が変わっている場合は、差額の理由を説明できるようにします。
日本政策金融公庫では、企業概要書、創業計画書、月別収支計画書、資金繰り表などの書式と記入例を公開しています。
事業内容について聞かれる質問
「どのような事業を行っていますか」
業種名だけで終わらせず、次の順番で説明すると伝わりやすくなります。
- 誰に販売しているか
- 何を提供しているか
- どのように売上を得ているか
- 自社の特徴は何か
例えば、次のように説明します。
「地域の建設会社を主な顧客として、店舗や事務所の内装工事を請け負っています。売上は工事ごとの請負代金で、既存取引先からの紹介案件が中心です。小規模工事にも短期間で対応できる点が当社の特徴です」
会社案内を読み上げるのではなく、初めて話を聞く人にも事業の流れが分かるように説明します。
「主な販売先と仕入先はどこですか」
次の項目を整理しておきます。
- 主要な販売先
- 販売先ごとの売上割合
- 主要な仕入先
- 取引年数
- 回収条件
- 支払条件
- 特定の取引先への依存度
売上の多くを1社に依存している場合は、その取引が終了した際の影響や、取引先を増やすための対応も説明できるようにします。
「競合との違いは何ですか」
「品質が高い」「対応が丁寧」といった抽象的な回答だけでなく、具体的な違いを説明します。
例えば、次のような要素です。
- 納期
- 価格帯
- 対応地域
- 専門分野
- 保有資格
- 設備
- リピート率
- 紹介案件の割合
- 顧客への対応方法
- アフターサービス
自社の強みだけでなく、今後改善すべき課題も把握していると、現実的な説明になります。
融資の目的について聞かれる質問
「なぜ資金が必要なのですか」
資金が必要になった背景と、具体的な使い道を分けて回答します。
回答は、次の順番で組み立てます。
- 資金が必要になった出来事
- 支払いが発生する時期
- 売上代金が入金される時期
- 不足する金額
- 融資金の使い道
例えば、次のように説明します。
「新たに2件の工事を受注し、来月から材料費と外注費が合計900万円発生します。一方、工事代金の入金は完成後の3か月後です。手元資金で300万円を負担し、残り600万円を運転資金として申し込みます」
受注書、契約書、見積書、資金繰り表などを用意すると、説明の根拠を示しやすくなります。
「借りた資金を何に使いますか」
「運転資金」とだけ答えず、内訳を示します。
例えば、融資希望額が800万円であれば、次のように整理します。
- 材料費:350万円
- 外注費:250万円
- 人件費:120万円
- 家賃などの固定費:80万円
設備資金の場合は、購入する設備、導入費用、設置費用などを見積書と合わせて説明します。
資金使途が変更になる可能性がある場合は、自分で判断して別の用途に使用せず、事前に金融機関へ確認することが重要です。
必要金額について聞かれる質問
「なぜその金額が必要なのですか」
融資希望額は、切りのよい金額や借りられそうな上限額ではなく、計算根拠から決めます。
運転資金であれば、次の資料が根拠になります。
- 資金繰り表
- 売掛金一覧
- 買掛金一覧
- 在庫一覧
- 給与支払予定
- 納税予定
- 受注書や契約書
設備資金であれば、見積書、契約書、カタログ、工事明細などを準備します。
必要額が1,000万円で、自己資金を200万円使用する場合は、差額の800万円を申し込むというように説明します。
「希望額より少ない金額でも対応できますか」
融資額が希望額を下回った場合の対応について聞かれることがあります。
事前に、次の3つを整理しておきます。
- 最低限必要な金額
- 延期できる支出
- 自己資金で補える金額
設備を一部だけ導入する、投資時期を分ける、仕入量を調整するなど、代替案がある場合は説明します。
ただし、必要額を下回る融資では事業計画そのものが成立しない場合は、その理由を明確に伝えます。
売上と利益について聞かれる質問
「最近の売上はどうなっていますか」
直近の売上高だけでなく、前年同期や計画との比較を説明します。
例えば、次のように回答します。
「直近3か月の月平均売上は約600万円で、前年同期の500万円から20%増加しています。既存取引先からの受注増加が主な要因です。一方で外注費も増えているため、営業利益の増加は売上ほど大きくありません」
売上の増減だけでなく、その原因と利益への影響まで説明することが重要です。
「今後の売上見込みの根拠は何ですか」
売上計画は、できるだけ構成要素に分けて説明します。
小売業や飲食業であれば、次のように計算できます。
客単価×客数×営業日数
製造業や建設業であれば、次のような資料が根拠になります。
- 受注残高
- 契約書
- 見積提出状況
- 過去の受注実績
- 生産能力
- 工事の進捗
- 顧客別の販売予定
契約が確定している売上と、営業活動中の見込み売上を分けて説明します。
赤字や売上減少について聞かれる質問
「赤字になった理由は何ですか」
赤字の説明では、原因を具体的な項目に分けます。
例えば、次のような原因が考えられます。
- 主要取引先からの受注減少
- 原材料価格の上昇
- 人件費や外注費の増加
- 新店舗開設に伴う先行費用
- 設備の修理費
- 在庫処分
- 一時的な広告費
- 役員退職金などの特別な支出
「景気が悪かったため」といった抽象的な回答だけではなく、売上や費用にどの程度影響したのかを説明します。
「今後どのように改善しますか」
原因と改善策を対応させて説明します。
原材料費の上昇が原因なら、販売価格の見直し、仕入先との条件交渉、代替材料の検討などが改善策になります。
売上減少が原因なら、新規顧客の開拓、既存顧客への追加提案、商品構成の見直しなどが考えられます。
改善策は「努力します」で終わらせず、次のように具体化します。
- 何を行うか
- いつまでに行うか
- 誰が担当するか
- どの程度の効果を見込むか
- 現在どこまで進んでいるか
既存借入れについて聞かれる質問
「現在の借入状況を教えてください」
次の項目を借入先別に整理します。
- 金融機関名
- 当初借入額
- 現在残高
- 毎月返済額
- 金利
- 最終返済日
- 資金使途
- 担保や保証の有無
法人名義の借入れだけでなく、事業に関係する代表者個人の借入れについて確認される場合もあります。
借入金一覧表を作成し、決算書の借入金残高と一致しているか確認します。
「ほかの金融機関にも申し込んでいますか」
複数の金融機関へ相談している場合は、事実に沿って説明します。
他行への申込みを隠すと、後から確認されたときに説明の信用性へ影響する可能性があります。
協調融資や複数行での調達を希望する場合は、総額、各金融機関への希望額、資金使途を整理して伝えます。
返済について聞かれる質問
「どのように返済する予定ですか」
返済原資は、基本的には事業から生み出される利益やキャッシュフローです。
「売上から返済します」だけでなく、売上、利益、減価償却費、既存借入れの返済額などを踏まえて説明します。
例えば、次のように回答します。
「今期の営業利益は年間600万円、減価償却費は200万円を見込んでいます。既存借入れの年間返済額は300万円で、新規融資の返済を含めても資金繰りを維持できる計画です」
計画上の返済が可能でも、売上が計画を下回った場合に備えて、どの支出を調整できるかも確認しておきます。
「希望する返済期間はどのくらいですか」
希望期間だけでなく、その理由を説明します。
運転資金であれば、売上代金の回収期間、毎月の利益、既存返済額などを踏まえます。
設備資金であれば、設備の耐用年数や収益への貢献期間も考慮します。
返済期間を長くすると毎月の返済額は抑えられますが、一般的には利息の総額が増える可能性があります。反対に短すぎると、毎月の資金繰りを圧迫する可能性があります。
創業融資で聞かれやすい質問
創業前または創業直後の面談では、決算実績が少ないため、創業者の経験と事業計画が特に重要になります。
聞かれる可能性がある質問は次のとおりです。
- なぜこの事業を始めるのですか
- これまでにどのような経験がありますか
- 必要な資格や許認可を取得していますか
- 顧客はどのように獲得しますか
- 競合との違いは何ですか
- 売上見込みはどのように計算しましたか
- 自己資金はいくらですか
- 自己資金をどのように準備しましたか
- 開業場所を選んだ理由は何ですか
- 売上が計画を下回った場合はどうしますか
- 生活費はどのように確保しますか
創業計画書に書いた内容を暗記して読むのではなく、自分の経験、顧客の見込み、売上の計算根拠を自分の言葉で説明します。
日本政策金融公庫は、創業計画書と複数業種の記入例、セルフチェックリストを公開しています。
避けたい回答と改善例
「とにかく売上を増やします」
具体的な方法と数字が分かりません。
次のように改善します。
「既存顧客20社へ追加提案を行い、そのうち5社から月10万円ずつの追加受注を得ることで、月50万円の売上増加を目指します」
「借りられるだけ借りたいです」
必要金額と資金使途が不明確です。
次のように改善します。
「材料費350万円、外注費250万円、人件費100万円の合計700万円が必要です。自己資金200万円を使用し、差額の500万円を申し込みます」
「税理士が作ったので数字は分かりません」
書類作成を税理士へ依頼していても、経営者自身が自社の状況を把握していることが重要です。
分からない項目があれば、面談前に税理士へ確認します。
面談中に即答できない場合は、推測で答えず、次のように伝えます。
「正確な金額を確認したうえで、資料とともに回答いたします」
「赤字は一時的なので問題ありません」
一時的である根拠が分かりません。
次のように改善します。
「前期の赤字300万円のうち、設備修理費200万円は一時的な支出です。一方で、原材料費の上昇による利益減少が100万円あるため、今期から販売価格を平均3%改定しています」
「返済については何とかします」
返済原資が明確ではありません。
今後の利益、減価償却費、既存借入れの返済額、新規借入れの返済額を整理し、資金繰り表を使って説明します。
面談当日の注意点
聞かれた質問に先に答える
説明を長く始める前に、質問への結論を答えます。
「はい」「いいえ」「金額は○万円です」「原因は○○です」と結論を示し、その後に理由や資料を説明します。
分からないことを推測で答えない
正確な数字が分からない場合は、無理に答える必要はありません。
「現在手元に正確な資料がないため、確認して回答します」と伝え、後から速やかに資料を提出します。
不利な事実も正確に説明する
赤字、債務超過、税金の未納、返済条件の変更などがある場合は、事実に沿って説明します。
隠すのではなく、発生した理由、現在の状況、解消予定、改善策を整理します。
提出資料を同じ順番で持参する
金融機関へ提出した資料と同じ一式を手元に用意します。
付箋や目次を付け、質問された数字をすぐに確認できるようにしておくと、面談を円滑に進められます。
面談前のチェックリスト
- 自社の事業内容を1分程度で説明できる
- 主な販売先と仕入先を把握している
- 直近の売上と利益を把握している
- 売上や利益が増減した理由を説明できる
- 資金が必要になった理由を説明できる
- 融資希望額の計算根拠がある
- 資金使途の内訳を説明できる
- 売上計画の根拠を説明できる
- 現在の借入残高と毎月返済額を把握している
- 新規融資の返済原資を説明できる
- 赤字や債務超過がある場合の改善策を整理している
- 税金や社会保険料の納付状況を確認している
- 提出書類と回答内容が一致している
- 面談用に提出書類の控えを準備している
- 即答できない場合の確認方法を決めている
まとめ
融資面談では、事業内容、資金が必要な理由、必要金額、資金使途、今後の売上、返済見込みなどが確認されます。
回答を準備する際は、次の順番を意識すると伝わりやすくなります。
結論→数字や事実による根拠→確認できる資料
審査に通りやすそうな回答を暗記することが目的ではありません。自社の状況を正確に把握し、提出書類と矛盾しない説明を行うことが重要です。
また、分からないことを推測で答えるよりも、確認してから正確に回答する方が適切です。
面談前には、決算書、試算表、資金繰り表、借入金一覧表、見積書などを読み直し、質問されたときに必要な箇所をすぐに示せるようにしておきましょう。

