据置期間とは?元金返済を待ってもらう仕組みと利用時の注意点

融資を検討していると、「据置期間6か月」「元金据置1年」といった条件を目にすることがあります。

据置期間を利用すると、融資を受けた直後の元金返済を一時的に待ってもらえるため、創業直後や設備投資後など、まだ十分な売上が立っていない時期の資金繰りを安定させやすくなります。

ただし、据置期間は返済そのものが免除される制度ではありません。一般的には据置期間中も利息を支払い、据置期間終了後には元金返済が始まります。

利用する際は、据置期間中の負担だけでなく、終了後の毎月返済額まで確認することが重要です。

※本記事は一般的な情報を整理したものです。実際の取扱い、利用条件、利息の支払方法などは、金融機関や融資制度によって異なります。

この記事の要点

  • 据置期間とは、主に元金返済を一時的に待ってもらう期間です。
  • 据置期間中も、通常は借入残高に対する利息を支払います。
  • 据置期間が融資期間に含まれる場合、据置終了後の毎月返済額が増えることがあります。
  • 売上の立ち上がりや設備の稼働開始に時間がかかる場合に有効です。
  • 必要以上に長い据置期間を設定すると、借入残高が減らない期間も長くなります。

目次

  1. 据置期間とは
  2. 据置期間中に支払うもの
  3. 据置期間を設けた場合の返済例
  4. 据置期間を利用しやすい場面
  5. 据置期間を利用するメリット
  6. 据置期間を利用する際の注意点
  7. 据置期間はどのように決めるか
  8. 据置期間終了前に確認すること
  9. まとめ

据置期間とは

据置期間とは、融資実行後の一定期間について、元金返済を猶予してもらう期間です。

例えば、1,000万円を借りて据置期間を6か月に設定した場合、一般的には最初の6か月間は元金を返済せず、7か月目以降に元金返済を開始します。

ただし、「返済が完全に止まる期間」と考えるのは正確ではありません。

通常、据置期間中も借入残高に対する利息が発生します。そのため、元金返済はなくても、毎月または所定の期日に利息を支払う必要があります。

公的融資制度でも、「据置期間」は元金返済を猶予し、利息のみを支払う期間として案内される例があります。

参考:長崎県「中東情勢緊迫化に伴う原油価格高騰にかかる資金繰り支援」

据置期間中に支払うもの

一般的な据置期間中の取扱いは、次のとおりです。

項目据置期間中の一般的な取扱い
元金返済を猶予されます
利息通常は支払います
信用保証料融資実行時の一括払いなど、制度によって異なります
団体信用生命保険の特約料利用する場合は別途発生することがあります
手数料金融機関や融資商品によって異なります

据置期間中の利息は、原則として借入残高をもとに計算されます。

元金を返済していないため、借入残高は基本的に減りません。その結果、据置期間を設けない場合と比較して、支払利息が増えることがあります。

全国信用保証協会連合会の保証協会団信に関する試算ページでも、「元金返済据置」の有無と据置期間を分けて入力する仕組みになっています。

ただし、このページは団信特約料の参考試算です。すべての融資に同じ期間や条件が適用されるわけではありません。

参考:全国信用保証協会連合会「特約料試算」

据置期間を設けた場合の返済例

借入額1,000万円、年利2%、融資期間5年、元金均等返済を例に考えてみます。

据置期間を設けない場合

60か月かけて元金を返済する場合、毎月の元金返済額は次のとおりです。

1,000万円÷60か月=約16万6,667円

初月の利息は概算で次のようになります。

1,000万円×年2%÷12か月=約1万6,667円

したがって、初回返済額は約18万3,334円です。

5年の融資期間に12か月の据置期間を含む場合

最初の12か月は元金を返済せず、利息のみを支払うとします。

据置期間中の毎月の利息は、概算で約1万6,667円です。

据置期間が終わった時点でも、元金1,000万円はそのまま残っています。融資期間5年のうち残り48か月で返済する場合、毎月の元金返済額は次のようになります。

1,000万円÷48か月=約20万8,333円

据置期間終了後の初回返済額は、元金と利息を合わせて約22万5,000円です。

条件据置なし12か月据置
元金を返済する月数60か月48か月
毎月の元金返済額約16万6,667円約20万8,333円
据置期間中の元金返済ありなし
据置期間中の月間利息概算該当なし約1万6,667円
据置終了後の初回返済額概算約18万3,334円約22万5,000円

据置期間を利用すると当初の負担は軽くなりますが、その後の毎月返済額が約4万1,666円増える計算です。

据置期間分だけ完済時期が延びる場合

融資商品によっては、元金を60か月で返済し、その前に12か月の据置期間を設ける形もあります。

この場合は、据置終了後の毎月元金返済額が約16万6,667円のままでも、完済までの期間は合計72か月になります。

つまり、契約によって次の2つの扱いが考えられます。

  • 融資期間に据置期間を含み、残りの期間で元金を返済する
  • 元金返済期間とは別に据置期間を設け、完済時期を後ろに延ばす

申込み時には、「据置期間終了後の毎月返済額」と「最終返済日」の両方を確認しましょう。

据置期間を利用しやすい場面

創業直後

創業直後は、店舗の認知や顧客の獲得に時間がかかり、売上が安定しないことがあります。

一方、家賃、人件費、仕入代金、広告費などの支払いは営業開始直後から発生します。

元金返済の開始を売上の立ち上がり後に設定できれば、創業初期の資金流出を抑えられます。

ただし、売上計画が実現しなかった場合、据置期間終了後に返済が始まって資金繰りが急に厳しくなる可能性があります。

設備投資を行う場合

新しい機械、店舗設備、車両などを導入しても、すぐに利益が増えるとは限りません。

設置工事、試運転、従業員教育、顧客開拓などに時間がかかる場合は、設備が本格稼働する時期に合わせて元金返済を開始する方法があります。

例えば、製造設備の導入から量産開始まで6か月かかるなら、その期間を考慮して据置期間を検討します。

入金までの期間が長い事業

建設業や受注生産型の製造業などでは、受注後に材料費や外注費を先に支払い、売上代金の入金は数か月後になることがあります。

融資実行直後から元金返済が始まると、売上代金が入金される前に返済負担が生じます。

初回の大きな入金時期に合わせて据置期間を設定できれば、入金と返済のずれを緩和できます。

事業再建や新規事業に取り組む場合

赤字改善、新商品開発、新規出店などは、効果が表れるまで時間がかかります。

据置期間を利用する場合は、「時間が経過すれば何となく改善する」という計画ではなく、いつ、どの施策によって、どの程度利益やキャッシュフローが改善するのかを具体的に示す必要があります。

据置期間を利用するメリット

融資直後の資金流出を抑えられる

元金返済が始まらないため、仕入れ、人件費、広告費、設備の調整費用などに手元資金を残せます。

売上の発生時期と返済開始時期を合わせられる

売上や利益が生じる前に元金返済が始まる状態を避けやすくなります。

計画実行の時間を確保できる

設備導入、採用、販売促進などに必要な期間を確保し、その成果が表れ始めてから返済に移れます。

ただし、これらのメリットが得られるのは、据置期間中に予定した施策を実行し、返済原資を作れた場合です。

据置期間を利用する際の注意点

据置期間中も利息は発生する

据置期間は無利息期間ではありません。

借入残高が減らないため、据置期間中は原則として当初の借入額を基準にした利息を支払います。

先ほどの例では、1,000万円を年利2%で借り、12か月据え置くと、据置期間中の利息は概算で20万円です。

1,000万円×年2%=年間約20万円

実際の利息は返済日、日割計算、金利変更などによって異なります。

据置期間終了後に返済額が増える場合がある

据置期間を融資期間に含める契約では、短くなった元金返済期間に借入残高を配分します。

そのため、据置期間中は楽でも、終了後の返済負担が大きくなる可能性があります。

借入残高が減らない

元金を返済しない限り、借入残高は基本的に減りません。

追加融資を申し込む際には、既存借入の残高や年間返済額も確認されるため、据置期間が長いほど既存借入が多く残ります。

必要以上の据置は支払利息を増やす

売上が早期に安定する見込みがあるのに、念のため長い据置期間を設定すると、その分だけ元金が減らず、支払利息も増えます。

据置期間は、利用できる最長期間ではなく、事業上必要な期間を基準に決めることが重要です。

据置終了を忘れると資金不足が起こりやすい

据置期間中の利息だけを資金繰り表に記載し、元金返済の開始を反映していないと、据置終了月から急に資金不足になることがあります。

据置終了後の返済額は、最初から資金繰り計画へ反映しておきましょう。

据置期間はどのように決めるか

売上や入金が始まる時期を確認する

次の時期を具体的に整理します。

  • 店舗の営業開始日
  • 設備の稼働開始日
  • 商品の販売開始日
  • 最初の受注予定日
  • 売上代金の入金予定日
  • 黒字化を見込む時期

据置期間は、単なる準備期間ではなく、返済原資が生まれるまでの期間を基準に考えます。

月別の収支計画を作る

売上、仕入れ、人件費、家賃、税金、借入利息などを月別に記載し、据置期間中の月末現預金を確認します。

据置終了後は元金返済額を追加し、資金残高が不足しないか確認します。

計画が遅れた場合も試算する

設備稼働や新店舗の集客が、予定より遅れる可能性もあります。

次のような条件で資金繰りを再計算しておきましょう。

  • 売上開始が3か月遅れる
  • 売上高が計画より20%少ない
  • 材料費や人件費が増加する
  • 売掛金の回収が1か月遅れる
  • 追加の設備費や修繕費が発生する

厳しい条件でも据置終了後の返済を継続できるか確認する必要があります。

東京信用保証協会は、毎月の資金の動きや調達時期を確認するための資金繰り表を公開しています。

参考:東京信用保証協会「経営サポートツール」

据置期間終了後の返済予定表を確認する

金融機関から返済予定表を受け取り、次の項目を確認します。

  • 据置期間中の支払額
  • 元金返済開始日
  • 据置終了後の初回返済額
  • その後の毎月返済額
  • 最終返済日
  • 総支払利息の見込み
  • 金利が変動した場合の取扱い

「据置期間が何か月あるか」だけでなく、その後の返済条件まで確認しましょう。

据置期間終了前に確認すること

据置期間終了の2~3か月前には、当初の計画と実績を比較します。

確認項目確認内容
売上高計画どおり増えているか
粗利益売上だけでなく利益が残っているか
売掛金予定どおり回収できているか
在庫過剰在庫になっていないか
現預金返済開始後も必要資金を維持できるか
月間返済額元金と利息を正しく把握しているか
納税予定返済開始と納税が重ならないか

計画を大きく下回っている場合は、返済が始まってから対応するのではなく、早めに金融機関へ相談することが重要です。

相談したからといって条件変更が認められるとは限りません。しかし、支払期日を過ぎてから相談するより、資金繰りの見通しと改善策を整理したうえで事前に相談するほうが、状況を説明しやすくなります。

まとめ

据置期間は、融資を受けた直後の元金返済を一時的に猶予してもらう仕組みです。

創業直後や設備導入後など、売上や利益が発生するまでに時間がかかる場合には、資金繰りを支える有効な選択肢になります。

一方で、据置期間には次の注意点があります。

  • 据置期間中も通常は利息を支払う
  • 据置期間中は元金が減らない
  • 据置終了後の毎月返済額が増える場合がある
  • 据置期間が長いほど支払利息が増えやすい
  • 据置終了時点で業績が改善していなければ、返済負担が急に重くなる
  • 融資期間に据置期間を含むかどうかで返済額が変わる

据置期間は、利用できる最長期間を選ぶのではなく、売上や入金が始まり、返済原資を確保できるまでの必要期間を基準に決めましょう。

参考資料

※制度内容や融資条件は変更される場合があります。実際に利用する際は、金融機関、信用保証協会、自治体などに最新情報をご確認ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です