銀行融資を断られたらどうする?確認すべき理由と次の資金調達方法
銀行融資を断られた場合、焦って別の金融機関へ同じ内容の申込みを繰り返すことはおすすめできません。
申込みを断られた理由を整理しないまま再申込みをしても、同じ問題によって希望どおりの結果にならない可能性があるためです。
まず確認したいのは、融資を断られたことではなく、金融機関がどの点を懸念したのかです。
赤字、債務超過、借入金の多さ、資金使途の不明確さ、返済原資の不足など、原因によって必要な対応は異なります。
この記事では、銀行融資を断られた場合に確認すべき理由、再申込みの前に改善したいポイント、検討できる資金調達方法を解説します。
※融資の可否や条件は、各金融機関などが個別に判断します。本記事は融資の承認を保証するものではありません。
この記事の要点
- 融資を断られた直後に、同じ内容で複数の金融機関へ申し込むことは避けます。
- 金融機関へ確認できる範囲で、判断の理由や不足していた資料を確認します。
- 資金使途、必要金額、返済原資を数字で説明できる状態にします。
- 決算内容だけでなく、直近の試算表や今後の資金繰りも見直します。
- 問題を改善したうえで、取引金融機関、日本政策金融公庫、保証付き融資などを検討します。
目次
- 銀行融資を断られる主な理由
- 融資を断られた直後に確認すること
- すぐに別の銀行へ申し込む際の注意点
- 再申込みまでに改善したいポイント
- 融資を断られた場合に検討できる選択肢
- 資金調達を急ぐ場合の注意点
- 融資の再相談に必要な資料
- 改善後に再相談する具体例
- まとめ
銀行融資を断られる主な理由
金融機関は、決算書だけで融資を判断するわけではありません。
会社の収益力、財務状況、資金使途、返済原資、事業内容、経営者の説明などを確認したうえで、個別に判断します。
ここでは、融資を断られる主な理由を整理します。
返済原資が不足している
融資では、借りた資金を何によって返済するのかが重要です。
利益やキャッシュフローが少なく、既存借入金の返済だけで余裕がない場合、新たな返済負担を追加することが難しいと判断される可能性があります。
簡易的な返済原資を確認する際には、次の計算が使われることがあります。
簡易キャッシュフロー=当期純利益+減価償却費
たとえば、当期純利益が300万円、減価償却費が500万円なら、簡易キャッシュフローは800万円です。
一方、既存借入金の年間返済額が1,000万円であれば、この計算上は返済額が返済原資を上回ります。
ただし、実際の現金収支には、売掛金、買掛金、在庫、設備投資、税金なども影響します。簡易キャッシュフローだけで判断せず、資金繰り表も確認してください。
赤字や債務超過が続いている
単年度の一時的な赤字と、本業の採算悪化による継続的な赤字では状況が異なります。
設備の修繕、役員退職金、災害などによる一時的な赤字であれば、その原因と翌期以降に同じ支出が発生しないことを説明できる場合があります。
一方で、本業の営業赤字が続き、純資産もマイナスとなっている場合は、追加融資だけで問題を解決できるか慎重に確認されます。
赤字の場合は、赤字額だけでなく次の点を整理します。
- どの費用または売上減少が赤字の原因か
- 一時的な原因か、構造的な原因か
- 改善策をいつ実施するか
- 改善によって利益がいくら増えるか
- 借入後の返済原資を確保できるか
既存借入金が多い
会社の利益や規模に対して借入金が多い場合、追加融資による返済負担が重いと判断される可能性があります。
借入金が複数ある場合は、次の項目を一覧にします。
- 金融機関名
- 現在残高
- 毎月返済額
- 金利
- 最終返済日
- 資金使途
- 担保・保証の有無
借入残高だけでなく、年間返済額と返済原資のバランスを確認することが重要です。
資金使途が不明確である
「手元資金を厚くしたい」「念のため借りたい」という説明だけでは、必要金額の根拠が伝わりません。
運転資金なら、何の支払いに、いつ、いくら必要なのかを説明します。
設備資金なら、購入する設備、価格、導入時期、導入効果を示します。
たとえば、運転資金1,000万円を希望する場合は、次のように説明します。
「新規受注に伴い、材料費600万円と外注費300万円の支払いが売上代金の入金より先行します。諸経費100万円を含め、最大1,000万円の立替資金が必要です。」
希望金額が過大である
会社の売上規模、利益、資金使途に対して希望額が大きすぎる場合、減額しても返済が難しいと判断されることがあります。
希望額は、借りられる可能性のある上限ではなく、資金繰り表に基づく必要額から計算してください。
資金不足額800万円、安全資金200万円なら、希望額1,000万円というように根拠を明確にします。
試算表や資料が古い
決算から時間が経過している場合、決算書だけでは現在の業績を確認できません。
直近の試算表、月別売上、受注状況、資金繰り表などを用意する必要があります。
決算後に業績が改善していても、資料がなければ改善を示せません。
反対に、決算後に業績が悪化している場合、その事実と対応策を説明する必要があります。
税金や社会保険料の滞納がある
税金や社会保険料の滞納は、融資手続きに影響する可能性があります。
納税証明書などの提出が必要な制度もあります。
未納がある場合は放置せず、税務署や年金事務所などへ相談してください。金融機関にも、状況と今後の納付計画を正確に説明することが大切です。
説明と提出資料が一致していない
申込時の説明と、決算書、試算表、資金繰り表などの数字が一致していない場合、説明の信頼性が低下する可能性があります。
たとえば、「売上は回復している」と説明しながら、直近の試算表では売上が減少している場合、追加の説明が必要です。
提出前に、各資料の数字と説明内容を確認してください。
融資を断られた直後に確認すること
判断理由を確認する
金融機関が審査の詳細をすべて説明するとは限りません。
それでも、確認できる範囲で次の点を質問してください。
- 希望額が大きすぎたのか
- 返済原資が不足していたのか
- 資金使途の説明が不十分だったのか
- 追加で必要だった資料はあるか
- 業績や財務内容のどこが課題だったのか
- 改善後に再相談できる可能性があるか
担当者から得られた情報は記録し、次の申込みへ反映します。
提出資料と説明を振り返る
申込時に提出した資料を並べ、次の内容を確認します。
- 必要資金の計算根拠があるか
- 資金使途を具体的に説明しているか
- 返済原資を示しているか
- 赤字や売上減少の原因を説明しているか
- 今後の改善策を数字で示しているか
- 直近の業績資料を提出しているか
断られた原因が会社の財務内容だけではなく、説明や資料の不足にある場合も考えられます。
資金が必要になる期限を確認する
次に、資金がいつ必要なのかを確認します。
「できるだけ早く」ではなく、資金繰り表を使って具体的な日付と金額を把握してください。
- 給与支払日
- 仕入先や外注先への支払日
- 税金や社会保険料の納付日
- 借入金返済日
- 売掛金の入金日
資金が必要になる期限によって、取るべき対応が変わります。
すぐに別の銀行へ申し込む際の注意点
一つの金融機関に断られたからといって、別の金融機関でも必ず断られるとは限りません。
金融機関ごとに取引方針や審査判断は異なります。
ただし、申込内容に問題がある状態で複数の金融機関へ同じ申込みを繰り返しても、状況が改善するとは限りません。
まずは次の点を修正します。
- 希望金額
- 資金使途
- 返済計画
- 赤字原因の説明
- 改善計画
- 提出資料
- 申込時期
短期間に複数の申込みを行う前に、税理士、認定経営革新等支援機関、商工会・商工会議所などへ資料を確認してもらう方法もあります。
再申込みまでに改善したいポイント
希望金額を再計算する
資金繰り表を作成し、必要金額を再計算します。
過大な希望額になっていた場合は、支払い時期の調整、不要な支出の削減、設備購入時期の変更なども検討してください。
ただし、融資を受けやすくするためだけに希望額を過度に減らし、数か月後に再び資金不足になることも避ける必要があります。
赤字原因を数字で説明する
赤字の場合は、損失が発生した項目と金額を明確にします。
説明例は次のとおりです。
「前期は主要原材料の価格上昇によって粗利益が700万円減少し、設備故障による修繕費300万円も発生したため、当期純損失は500万円となりました。当期は販売価格を平均6%改定しており、年間600万円の粗利益改善を見込んでいます。」
原因と改善策を対にして説明することが重要です。
不採算取引を見直す
売上を増やすだけでなく、商品、顧客、工事、路線などの単位で採算を確認します。
売上が大きくても利益が残らない取引を継続すると、資金繰りも改善しません。
値上げ、条件変更、原価削減、取引縮小などの対応を検討してください。
月次試算表を早く作成する
決算書だけでなく、直近の業績を示すために月次試算表を作成します。
売上、売上総利益、営業利益、現預金、売掛金、在庫、借入金などを毎月確認してください。
改善計画を実施した後は、計画と実績の差も記録します。
融資を断られた場合に検討できる選択肢
取引金融機関への再相談
問題点を改善できた場合は、最初に相談した金融機関へ再相談できる可能性があります。
改善前と同じ説明を繰り返すのではなく、次の変化を示します。
- 値上げを実施した
- 新規受注が確定した
- 不採算部門を縮小した
- 固定費を削減した
- 月次利益が改善した
- 希望金額の根拠を明確にした
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者を対象とした各種融資制度を取り扱っています。
民間金融機関とは審査や制度の仕組みが異なりますが、申込みによって必ず融資を受けられるわけではありません。
事業内容、資金使途、返済原資、財務状況などについて審査があります。
利用を検討する場合は、公式サイトで最新の制度と必要書類を確認してください。
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証を利用し、銀行や信用金庫から融資を受ける方法です。
自治体によっては、金融機関や信用保証協会と連携した制度融資を設けている場合があります。
利用条件、限度額、金利、保証料補助などは地域や制度によって異なります。
なお、保証付き融資も審査があり、利用が保証されるものではありません。
自治体の制度融資
都道府県や市区町村が、中小企業向けの融資制度を設けている場合があります。
制度によっては、金利や信用保証料の一部について支援を受けられる場合があります。
本店所在地の自治体、信用保証協会、取引金融機関へ確認してください。
経営改善支援
赤字が続いている場合、債務超過の場合、既存借入金の返済が重い場合は、追加融資だけでなく経営改善が必要です。
認定経営革新等支援機関、中小企業活性化協議会、商工会・商工会議所などへ相談する方法があります。
売上改善、原価削減、資産・負債の整理、返済計画などを含む改善計画を作成します。
リースや割賦
設備資金を断られた場合、設備のリースや割賦購入を検討できることがあります。
一括購入と比べて導入時の負担を抑えられる一方、総支払額が増える場合があります。
月額、契約期間、所有権、中途解約条件、保守費用などを比較してください。
ファクタリング
売掛債権を売却し、入金日前に資金化する方法です。
融資とは異なりますが、手数料が発生します。
継続的に利用すると、将来受け取れる現金が減り、資金繰りをさらに圧迫する可能性があります。
契約前に、手数料総額、入金実額、償還請求権、債権譲渡登記、違約金などを確認してください。
資金調達を急ぐ場合の注意点
融資を断られて資金を急いでいるときほど、極端に高い手数料や不透明な契約条件に注意が必要です。
次のような場合は、契約を急がず専門家へ相談してください。
- 手数料総額を明示しない
- 契約書を渡さない
- 債権額に対して入金額が極端に少ない
- 実質的には融資のような返済を求められる
- 個人名義口座への送金を求められる
- 即日契約を過度に迫られる
- 説明のない違約金や追加費用がある
資金調達の早さだけでなく、受取額、返済または精算条件、会社の今後の資金繰りへの影響を確認します。
融資の再相談に必要な資料
再相談では、前回から何が変わったのかを示す資料が重要です。
準備したい資料は次のとおりです。
- 直近3期分の決算書
- 最新の試算表
- 資金繰り表
- 借入金一覧表
- 資金使途の明細
- 必要金額の計算資料
- 受注書や契約書
- 売上・利益の改善実績
- 経営改善計画
- 設備資金の場合は見積書
- 納税証明書などの指定書類
資料を増やすだけではなく、申込金額、資金使途、返済原資が一貫していることを確認してください。
改善後に再相談する具体例
ここでは、架空の卸売会社を例にします。
最初の申込み
- 希望額:2,000万円
- 資金使途:「運転資金」
- 前期営業損失:600万円
- 年間借入返済額:900万円
- 資金繰り表:未作成
- 改善計画:未作成
希望額の根拠と返済原資が明確ではなく、融資を受けられませんでした。
見直した内容
会社は、取引先別・商品別の採算を調査しました。
その結果、売上規模の大きい一部商品で利益がほとんど残っていないことが判明しました。
次の対策を実施しました。
- 不採算商品の価格を平均7%改定
- 滞留在庫を処分
- 倉庫面積を縮小
- 新規受注の契約書を準備
- 6か月分の資金繰り表を作成
- 必要資金を1,200万円と再計算
再相談時の説明
「価格改定と倉庫縮小により、月額80万円の利益改善を見込んでいます。新規受注に伴う仕入代金の支払いが売上入金より先行するため、最大不足額は1,000万円です。安全資金200万円を含め、1,200万円を希望します。」
前回から改善した事実、必要金額、返済原資を数字で示すことで、相談内容が具体的になりました。
この例は融資結果を保証するものではありませんが、理由を分析せず別の金融機関へ申し込む場合との違いを示しています。
まとめ
銀行融資を断られた場合は、すぐに同じ内容で申込みを繰り返すのではなく、理由を整理することが重要です。
確認したい項目は次のとおりです。
- 返済原資を確保できているか
- 既存借入金の返済負担が重くないか
- 資金使途と希望金額に根拠があるか
- 赤字や売上減少の原因を説明できるか
- 改善策を数字で示しているか
- 最新の試算表と資金繰り表を用意しているか
- 税金や社会保険料の未納がないか
問題を改善したうえで、取引金融機関への再相談、日本政策金融公庫、信用保証協会の保証付き融資、自治体の制度融資などを検討します。
追加融資だけでは解決が難しい場合は、認定経営革新等支援機関や中小企業活性化協議会などへ早めに相談してください。
資金が尽きる直前になるほど、検討できる選択肢は限られます。必要な時期と金額を資金繰り表で把握し、余裕をもって対応することが大切です。

